裏ギフト
あたしは大きくなる結香批判の輪から離れ、永遠の机に向かった。


今話しかけて大丈夫だろうか?


遠目から見ても、誰も寄せ付けない雰囲気を出している永遠。


ここまで来て、失敗するわけにはいかない。


「ねぇ……永遠……」


あたしはそっと話しかける。


永遠は下げていた視線を上げ、あたしを目を合わせた。


その瞬間、険しい表情が少しだけ緩んだ。


「侑里……」


「永遠、大丈夫?」


そう聞くと永遠は小さく首を左右に振り、苦しそうに眉間にシワを寄せた。


永遠にこんな顔をさあせるなんて、結香は本当に悪い女だね。


今の永遠はそっとしておいた方がいいかもしれない。


そう思い、あたしは永遠に背を向けた。


その時、永遠の手があたしの手首をつかみ、それを引き留めたのだ。


永遠の手のぬくもり心臓がドキンッと跳ねる。


「侑里……」


「……なに?」


振り向くと、子犬のような顔をしてこちらを見ている永遠がいた。


「侑里はずっと俺のそばにいてくれよな?」


「永遠……もちろんだよ」


あたしは永遠に抱きつきたい衝動をグッと押さえ、笑顔で頷いたのだった。
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