裏ギフト
☆☆☆

教室に入って結香の姿がないのを見ると、2人ともガッカリしたように肩を落とした。


イジメのターゲットがいないとなると、つまらないのだろう。


「ねぇ侑里、なに楽しい事ないかなぁ?」


机にカバンを置いた初が、すぐさまあたしの所まで寄ってくる。


ひっつきむしみたいでうっとうしい。


けれどそれは顔に出さず、あたしは深刻な表情を浮かべた。


「実はね初、あたし困ってることがあるの」


「困ってること?」


初は一気に嬉しそうな顔になる。


自分には直接関係のない、人の悩みや不幸は格好の遊び道具になる。


そんな考えが手に取るようにわかる。


単純な女。


「誰から送られてきているかわからないプレゼントが届くって、前に言ったのを覚えてる?」


「あぁ! あれ、まだ届いてるの?」


初の目は更に輝き、グッと身を寄せてくる。
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