裏ギフト
もしこの2人が犯人だとしたえら、弱ったところを見せるのは逆効果だ。


あたしはギフトの事を話題には上げず、極力楽しい話をして終始笑顔でいる事を心掛けた。


心の中では2人に疑いをかけ、話しかけてくるクラスメイトたちを慎重に見極めた。


こいつか?


それともこっちか?


周囲は容疑者ばかりだ。


あたしは今たった1人で敵と戦っている状態。


自然と張りつめた空気を作り出してしまい、初とつぐみがおどおどしたような表情を浮かべる。


そうすると、あたしは慌てて笑顔を作る。


そんな事を繰り返しだった。


でも、結局犯人が誰なのか特定することはできず、1日の授業は終わってしまった。


まぁいい。


明日でも明後日でもじっくり犯人を捜していけばいいんだから。


そう思い直し、かばんを持って立ち上がる。


「侑里、今日はどっか行く?」


初がすぐに声をかけてくるけれど、あたしは左右に首を振った。


さすがに睡眠不足で寄り道をして帰る気分にはなれない。
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