裏ギフト
「もちろん。カンニングでもしなきゃ留年間違いなしの奴らだからね」


「そうなんだ。でも、バレないの?」


「バレても僕に疑いがかかることはないよ」


そう自信満々に答える彼に、あたしは首を傾げた。


「どうして?」


「日頃の生活態度。僕は東大を期待されているエリートだから、仮にバレたとしても大人たちは全力で僕を守ってくれるんだ」


そう言い、ニヤリと笑う。


「そうなんだ……」


「イジメにはリスクが伴う。だからイジメる側はどこまでも黒く、賢くなきゃいけない」


彼はそう言い、参考書を閉じて立ち上がった。


「教室に戻るの?」


「あぁ。君と一緒にいる所を見られても僕にとっていいことはなにもないからね」


彼はそう言うと、参考書を手に図書室を出たのだった。
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