裏ギフト
耳
がり勉君の名前は奥田翔真（ｵｸﾀﾞ　ｼｮｳﾏ）と言うのだと、教室に戻って出席名簿を確認したあたしは知った。


今までその存在は目に入らないものだったけれど、あんな会話をした後ではどうしても気になってしまう。


翔真は教室内でも常に教科書を広げていて、時々隣の席の男子と会話をする程度の大人しい生徒だった。


席は窓際の一番前で、昼食後でも眠そうな顔１つせずに黒板を見つめている。


その姿は確かに優等生だったけれど、すべて自分をイジメていた金髪への仕返しのためなのだと思うと、ゾクゾクした。


翔真はいつでも徹底しているのだ。


相手をイジメ、その疑いが自分にかからないようにするために、全力なんだ。


その姿にあたしは思わず笑ってしまう。


「なにあれ、1人で笑って気持ち悪い」


初にそう言われ、あたしはスッと笑みを消したのだった。
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