裏ギフト
いい雰囲気
すべての準備を終えたあたしは手を洗い、食堂で時間を潰していた。


今日美術部があるというのは嘘だし、本当なら真っ直ぐに帰りたかった。


でも、結香のビックリする顔を見なければ帰れない。


そう思い、図書室で借りた本を読んでいた。


「侑理?」


本の世界に夢中になっていた時後ろから声をかけられ、あたしは驚いて顔を上げた。


「ごめん、驚かせるつもりじゃなかったんだけどな」


そう言って笑ったのは永遠だった。


永遠はバスケ部のユニフォームを着て、肩からタオルをかけている。


「永遠、どうしたの? 部活は?」


突然永遠に声をかけられた動揺を隠しながら、あたしはそう聞いた。


「今日は練習試合が早く終わったんだ」


そう返事をして永遠はスポーツドリンクを飲んだ。


それが口の端から少しこぼれて、永遠の首筋を伝って落ちて行く。


「そうなんだ」


あたしはその滴に目を奪われる。
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