裏ギフト
☆☆☆

いつだっただろうか?


前にもこんな感情を抱いたことがある。


あたしはベッドに寝転がってボンヤリと天井を見上げながら、記憶をたどった。


遠い昔の事だった気がする。


小学校の……低学年の時だったかな?


そうあれはたしか、学校からの帰り道だった。


いつもの通学路を歩いていると、最近よく見かける薄汚れた野良猫が歩いていたんだっけ。


猫は灰色のまだら模様で、それがさらに汚れていて可愛いとは思えない容姿だった。


あたしはそんな猫を嫌いでも好きでもなかった。


友達はみんな「汚い」とか「可愛くない」とか口にしていたけれど、その猫は下校時刻になると必ずこの道を歩いていた。


今日もそうだった。


いつものように、子供たちを見守るように歩く猫。


その猫の後ろからトラックが迫っていた。


通学路だからトラックはスピードを出していない。


安全に通れるスペースだってあった。
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