裏ギフト
トラックにはねられた猫の体は折れ曲がり、眼球が飛び出し、口から異物を吐き出していた。


落ちた衝撃で頭われ、真っ赤な血が流れていく。


周囲が騒がしくなる中、あたしはただその猫を見ていた。


猫を見ながら胸の奥がジンジンと熱くなるのを感じていた。


あぁ、好きだ。


好きだ好きだ、大好きだ!!


それは猫にたいする異常なまでもの愛情だった。


今まで何も感じたことがなかったのに、これほどまでこの子が好きだ。


大人たちはその感情に対し、「猫が侑里ちゃんの前を走って助けれくれたからだね」と言った。


でも、それは違うと感じていた。


あたしは猫に恩を感じているワケじゃない。


血まみれになって、原型をなくしたあの猫が好きなんだ。


結局あの事故はトラックの運転手が突然気絶したことが原因で、被害者は猫一匹という状態で終わった。


しかし、あの事故がキッカケであたしはスプラッター映画が好きになった。
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