裏ギフト
人を食べるゾンビや、チェンソーで人を襲う怪物。


そんなものを沢山観て来た。


だけど、いくら画面上でグロテスクなものを見ても、目の前で猫が死んだときほどのトキメキを感じることは今まで一度もなかった。


そして徐々にその感情は薄れて消えて行ったのだ。


それが……あの相手を見た瞬間すべて思い出してしまった。


猫に感じた好きで好きでたまらないあの感情。


自分では制御できない高揚感。


あたしはジッと天井を見つめたまま、自分の体を抱きしめた。


今でもまだ、あたしの体は熱を帯びている。


「一体……あなたは誰……?」


誰もいない部屋の中、そう呟いたのだった。
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