裏ギフト
そして途端にクラスメイトから興味がなくなり、あたしは教科書をかき集めてカバンに詰めた。


「じゃ、あたし帰るから」


「はぁ?」


さっきまで泣いていたあたしがケロッとしているので、初が眉間にシワを寄せる。


もう演技をする必要はなくなったあたしは、覚めた目で初を見る。


「まだ何か用がある?」


「なんだよ、その態度は!!」


急変したあたしに初が顔を真っ赤にし、机を蹴りあげる。


かわいそうな初の机は横倒しになってしまった。


あたしはそんな初に背を向け、クラスメイトたちをかきわけて出口へと向かう。


「待てよ!!」


初が怒鳴っている。


それでも追いかけてこようとしないのは、まだあたしを恐れているからだ。


あたしは一度振り返り、初へ向けて微笑んだ。


初は何か言いたそうに口を開く。


しかし、結局その口からは何も発せられなかったのだった。
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