裏ギフト
「うん。たとえば胴体は内臓をすべて抜かれて綿が入ってたの。皮と毛だけになって、最初は真っ白なクッションだと思った」


「へぇ……」


翔真は小首をかしげ、あたしの話に耳を傾ける。


「それって嫌がらせ?」


「わからないけど……たぶんそうだと思う」


「でも、嫌がらせなら血まみれのウサギの方が効果的だと僕は思うけどね」


「それはそうなんだけど……本当に突き落とされたから」


あたしがそう言うと、翔真は驚いたように目を丸くした。


「は? 突き落とされた?」


「そう。あたしが入院したのは階段で誰かに体を押されたからなんだよ」


「あれは事故じゃなかったのか?」


「違うよ」


あたしはそう言い、箱に入れられていた手紙の内容を話して聞かせた。


翔真は興味深そうに何度も頷きながら、あたしの話をきいてくれた。


「衝動的に手紙を捨ててしまったというのは賢くないな」


「そんなのあたしだってわかってる」


ムッとして翔真を睨む。


しかし翔真はあたしににらまれる事なんて気にしていない様子で、何やら考え事をしている。
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