裏ギフト
☆☆☆

誰もいない家に戻り、暖かいシャワーを頭から浴びる。


今日の出来事のせいで永遠はもうあたしには関わってこないだろう。


黒ずくめの相手も、会いたいときに会える相手じゃない。


サイト側が黒ずくめの相手と契約を切ったり、ギフトの送り主があたしへの嫌がらせをやめれば二度と会えない。


翔真も、裏ギフトがあるからあたしにかまっているだけだ。


あたしは顔から熱いシャワーを浴びた。


あたしは今1人ぼっちだ。


誰も、あたしの事が目に入っていない。


それでもあたしの心の中に孤独という文字はなかった。


小さな頃から取り繕い、喜怒哀楽を大げさに表現して生きて来た。


興味がなくても興味があるフリをして、好きじゃなくても好きなフリをしてきた。


それをしなくてよくなった今、一番素の状態に近い無表情でいることができるのだ。


ただ1つ、残念なことはあった。


「永遠の事は、ちゃんと好きだったよ」


誰にも聞こえない浴槽内で、あたしはそう呟いたのだった。
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