裏ギフト
☆☆☆

学校でも家でロクに口を開かない。


そんな状態で土曜日になっていた。


明日は日曜日だ。


そう思うと、脳裏には黒ずくめの相手の口元が思い出される。


完全に孤立している状態のあたしは、その口物を思い出すだけで全身に鳥肌が立ち、胸の奥が熱におかされた。


周囲に邪魔な者たちがいなくなって考える事が減った今、あたしの心を奪っているのはあの相手1人だけだった。


明日の朝にはきっとまた来る。


裏ギフトを持って、あたしの家に来る。


そう思うと居ても経ってもいられなくて、あたしはホームルームが終わると同時に席を立ちあがった。


「あたしたちにビビッて逃げたな」


初のそんな声が聞こえてくる。


勝手に好きなように考えていればいい。


あたしは振り返ることもなく、教室を出た。
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