裏ギフト
☆☆☆

夕方までテレビを見て、あたしの作った夕食を食べた翔真は先に寝てしまった。


あたしは遅いお風呂につかりながら、翔真の顔を思い浮かべていた。


ただのがり勉だと思っていた翔真も、いろんなものを抱えて生きて来たんだ。


みんな、それぞれに人には隠している何かがある。


それはきっと特別な人にだけ話せることなんだろう。


でも……翔真の場合は少し違う。


あたしが特別な存在だからあんなことを話したワケじゃない。


ただ、聞かれたから答えた。


その程度のものなんだろう。


あたしだってそうだ。


お父さんが死んだことを、聞かれたから答えた。


話をするときには、何の感情も抱いていない。


「あたしたち、似てるね……」


浴槽のすぐ上の部屋で眠っているハズの翔真へ向けて、あたしはそう呟いたのだった。
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