裏ギフト
そう言い、あたしは引かれている分厚いカーテンを開いた。


外はまだ真っ暗で、何も見えない。


「まだ時間が早いのか?」


「わからない。でも、そろそろだと思うんだけど……」


そう言った時だった。


暗い闇の中で一際黒く見える影が動いた。


ハッとして目を見交わせる。


「あれか?」


「たぶん」


小さく頷くあたし。


影は帽子を深くかぶり、真っ黒な服を着ている。


その中で手に持っている白い箱だけが宙に浮いているように見える。


間違いないあれだ。


あたしは自分の心臓がドクドクと高鳴るのを感じていた。


男はポストの前で立ち止まり、箱をねじ込む。
< 288 / 382 >

この作品をシェア

pagetop