裏ギフト
「すげぇ……」


翔真がその光景に目を輝かせる。


あたしはジッと黒ずくめの相手を見ていた。


今日はこちらを向いてくれないのだろうか。


顔がよく見えないのはわかっている。


でも、せめてこの前のように目元を見せてくれないだろうか。


そう思い、窓に身を近づける。


すると相手はそれに気が付いてようにフッとこちらを見上げて来たのだ。


口元がチラリと見える。


体中に電気が走ったように、ビリビリと痺れるのを感じる。


呼吸は浅く短くなり、フワリと足元が浮くような感覚。


この前と同じだ……。


相手がニヤリと笑いポストから離れるのを見て、あたしは走り出していた。


少しでいい。


一瞬でいい。


会話がしたい。
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