裏ギフト
交番の中には暇そうに外を眺めている警察官の姿があった。


「だけど、警察に通報すれば翔真はきっとあたしから離れて行く……」


心の隅で思っていた事をつぶやく。


翔真がいるから、あたしはまだ1人ではないのだ。


そしてなにより、翔真は永遠と並ぶくらいにカッコいいとわかってしまった。


翔真に恋心を抱いているワケじゃない。


それでも、引き留めていたいという気持ちが生まれてくる。


翔真が相手なら、今さらいい子ぶる必要だってない。


通じるものも永遠よりも多いかもしれない。


そう思うと、手放す事がどうしても惜しく感じてしまうのだ。


あたしは交番の前で止めかけていた足を、前へと進めたのだった。
< 300 / 382 >

この作品をシェア

pagetop