裏ギフト
☆☆☆

翌日。


あたしはいつも通りクラス内で孤立していた。


誰もあたしに話かけず、時々どこからともなく悪口が聞こえてくる。


トイレに行こうと席を立てば背中を押されてこかされるし、起いたままにしていた教科書はマジックで落書きをされていた。


休憩時間になるとあたしは単行本を取り出し、それに目を落とした。


興味がある本でもないし、活字は苦手でなかなか読み進める事ができない。


でも、こうしていることで少しだけ気持ちは落着いた。


そして、ふと思った。


もしかして結香もこんな感じだったんだろうかと。


結香は元々小説が好きだったけれど、クラス内で孤立していた時は活字を読みながらも周囲を気にしていたのかもしれない。


そう思い、あたしはフッと肩の力を抜いた。


あたしは結香とは違う。


こんなのは平気だ。


自分に言い聞かせるようにそう思い、胸の奥に真っ黒で重たい感情が蓄積されて行くのを感じていた。
< 301 / 382 >

この作品をシェア

pagetop