裏ギフト
そんな声が聞こえて来てあたしは振り向いた。


そして一瞬にして表情をゆがめる。


あたしを気にして声をかけてきたのは暖だったのだ。


よりによって暖なんかに声をかけられるなんて、最悪だ。


しかも、暖は眉を下げてすごく心配そうな顔をしてあたしを見ているのだ。


こんな奴に心配されるなんて……。


悔しさを感じ、あたしはギリッと歯を噛みしめた。


「1人で食べた方がマシ」


あたしはそう言い放ち、暖を無視して歩き出した。


「で、でも! 一緒に食べた方がおいしいよね!?」


暖がそう言い、追いかけてくる。


デブだからドスドスと大きな足音が響いてくる。


「うるさい! あんたなんかと食べるくらいなら、1人で食べた方がマシ!!」


そう怒鳴ると、暖はその場に立ち止まりつらそうに視線を下げた。


あたしはきびすを返し、教室へと歩き出したのだった。
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