裏ギフト
八つ当たり
ボロボロのブラウスで教室へ戻ることはできず、あたしは自分の身を隠すように保健室に向かった。


ノックをしてドアを開けても、そこには誰もいなかった。


「先生はいないのか……」


そう呟きながらもホッと胸をなで下ろす。


先生にバレると色々と厄介だ。


初とつぐみに写真を撮られている以上、あたしの立場は悪い。


あたしは保健室にある棚を勝手に開けて中を確認し始めた。


なにか体を隠すものがないだろうか。


大きな棚の引き出しを開けると、タオルが何枚か入っていた。


あたしはその一枚を取り出し、広げる。


フェイスタオルだから全身を画することはできない。


でも、これで胸の前は隠せるだろう。


「仕方ない、このまま教室に戻るしかないか」


そう呟いた時、ノックの音もなく保健室のドアが開かれた。
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