裏ギフト
「付き合ってない」


あたしがそう言うと、つぐみが「だよね、侑里は遊ばれてるんだもんね!」と、クラス中に聞こえるような大きな声で言ったのだ。


「遊ばれてる?」


あたしは眉間にシワを寄せてつぐみを見る。


どうしてそんな話になっているのか、わけがわからない。


「あれ? もしかして侑里知らないの?」


初がグイッと顔を近づけてそう聞いてくる。


その瞬間初から甘い香りがして、ハッと目を見開く。


黒ずくめの男の同じ香り!


「奥田君はね、他校に彼女がいるんだ!」


「……彼女?」


あたしは翔真の席へと視線をやる。


相変わらず女子たちに囲まれていて、顔は見えない。


彼女がいるなんて話、聞いていない。


「侑里、顔怖いよぉ?」


つぐみがあたしの反応にニヤニヤしながらそう言って来る。


あたしはグッと奥歯を噛みしめた。
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