裏ギフト
耳障りな雑音を黙らせるため、あたしは翔真の机を両手で叩いた。


バンッ!


と音が響き、教室内は一気に静かになる。


「彼女にはちゃんと許可をとって泊まりに行った」


「なんですって……」


あたしは1人そんなことも知らずに、翔真を泊まらせていたのか。


元々翔真は恋愛対象ではない。


それはお互いによくわかっていることだ。


でも……!!


彼女の存在を知らなかったからこそ、翔真に少し気持ちが揺らいでしまった時もあった。


彼女から奪い取るほど好きな相手ではないから、彼女がいるとわかっていれば揺らぐ事もなかったんだ。


「君は僕の事が好きなのか?」


翔真にそう聞かれ、あたしは一瞬返事に詰まった。


「……好きじゃない」


「だろうね。君が好きなのはあの黒服の男だ」
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