裏ギフト
「ゾンビ映画を2人で見た時から、俺は侑里ちゃんが同じ世界の人間だって気がついたんだ。だから、少しでも近づきたかった」


「それで、ギフトを送り始めたの?」


「そうだよ。裏ギフトのサイトを見て、自分にも出来そうなものを選んで実践していたんだ」


あれはすべて空君が自分で作っていたのか。


だから縫い目が乱雑だったんだ。


剥製になっていると思ったけれど、ただ臓器をくりぬいただけのお粗末なものなのだろう。

あたしはこらえきれなくて、大声を出して笑っていた。


「あたしを階段から突き落としたのは?」


「もちろん、俺だ。知り合いの長谷高校の制服を着て侵入した」


「と、いうことはあたしがウサギを完成させられなかったのを、見ていたってことだよね?」


そう聞くと、空君は大きく頷いた。


どうやって見ていたの?


そう聞こうとした言葉をあたしは飲み込んだ。


そうだ。


そもそも空君はどうして今ここにいるんだろう。


その疑問を察したかのように、空君は笑顔を浮かべる。


「俺はね、ずっとここにいたんだよ」


「は……?」


「ここ、だよ」


空君は天井を指さしてそう言った。


あたしの視線も、自然と天井へ向かう。


「屋根裏……?」


「その通り」
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