裏ギフト
いつものように男子から話しかけられても、結香はうつむいたまま顔をあげなかった。


そんな態度の結香に男子たちは心配そうな表情を浮かべたが、深く話を聞こうとする生徒はいなかった。


結香はいつもニコニコと微笑んでいて、いつも話を聞いてくれる。


それは男子からすればお人形のようなものなのだ。


お人形は自分のそばにいればいいだけ。


お人形は調子が悪くなることもない。


そう思われていた結香が態度を変えたため、男子たちが近づきにくくなっているのだ。


あたしは1人で座っている結香を横目で見て、内心大笑いしていた。


いろんな男子にいい顔をしているから、誰からも本気では心配してもらえなくなるんだ。


結香の人気なんて、所詮その程度なんだ。


そう思うと、あたしはとてもいい気分になった。


しかし……。
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