裏ギフト
「あれ、ひなたは?」


会場が明るくなり始めたとき、空君はやっとひなたがいないことに気が付いたようだ。


全く、どれだけ映画に入り込んでたのよ。


「ひなたなら、気分が悪くなって外にいるよ」


「あぁ、そっか。やっぱりそうだよなぁ」


空君はそう言い、ポリポリと頭をかいた。


空君はカッコイイけれど、彼女とのデートでゾンビものを選ぶなんて、少し抜けているところがあるのかもしれない。


「じゃ、行こうか」


2人して歩いていると、空君は思ったよりも背が高い事に気が付く、


180センチ近くあるかもしれない。


並んで歩いていると少しだけ優越感を覚えた。


しかしそれはほんの束の間。


映画館から出てひなたの姿を見つけると、空君はすぐにあたしの隣から離れて行った。
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