裏ギフト
永遠は結香の隣の席に座り、パンの袋を開けた。


「どんな内容の小説?」


「えっと……好きなんだけど素直になれない女の子と、海外留学が決まっている男の子の話」


ハッ。


なんだそのベタなストーリーは。


そんなの刺激的でもなんでもない。


猟奇的犯人に口を縫い合わされてしゃべれない女の子と、殺人罪で海外逃亡している男の子のラブストーリーの方が100倍おもしろいだろ。


「へぇおもしろそうだな」


永遠は優しいから、結香を傷つけないようにそんな事を言っている。


「おもしろいよ」


結香の顔色がほんの少しよくなる。


「ところで、今日は元気がなさそうだけど、どうかした?」


パンをかじり、永遠がそう聞く。


あたしは結香の次の言葉に耳をそばだてた。


「ちょっと……嫌なことがあって」


「嫌なこと?」


「うん……」
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