smile
「俺の...」
私は息が止まった。
「お母さん!」
えっ...どーゆーこと...
ファンからは笑いが起きた。
「あはは...そうそうお母さんです笑」
なぜか心が苦しかったけどそう言うしかなかった。
「さっきはごめん...。」
「ん?なにが?」
「いや、お母さんって...」
「あぁ、全然。お母さんになれて光栄です笑」
.....................。
「聞いてもいい?」
葛木くんが言った。
「ん?いいよ...。」
「この前の返事なんだけど...」
ないものにしていた記憶が蘇った。
「あ...うん...なんていうか......」
「正直な気持ち教えてくれればいいから。」
「いや、私は...」
正直な気持ちは自分でもまだ分からなかったけど、葛木くんが好きになりかけてるのは実感していた。
「信じられないんだ...私は全然可愛くないし、こんなキャラだし、なのに葛木くんはみんなの人気者でファンだってたくさんいる。だから冗談だってずっと思ってて...」
「そーだったんだ...。でも俺は中嶋のそんなとこがいいと思ったんだ。自分で言うのは変だけど俺の周りの女子は自分をよく見せようとするやつばっかで、でも中嶋は違くて。」
葛木くんがそんなこと思ってくれてたと知ってすごく嬉しかった。
でも...
「きっと葛木くんならいい人見つけられるよ!みんな葛木くんが好きだから頑張ってるんだよ。」
葛木くんは少し寂しそうな顔をしていた。
「あ、あの...私も1つ...」
「なに?」
「今度ダンス部の発表あるからよかったら来てほしいな...。」
「おぅ。もちろん行くよ!今日来てくれたお礼に。」
「じゃあ待ってるね。」
その日の夜、葛木くんからのLINEには
「今日は応援来てくれてありがと。
おかげで勝てたよ!
あとさ、名前で呼んでもいいかな...?」
嬉しかった。すごくすごく嬉しかった。
「こちらこそ。応援行けてよかった!
葛木くんがすごいから勝てたんだよ!
もちろん。じゃあ私も...笑」
返信を待ってる間に私は寝てしまった。