冬の約束
<<美彩side>>

私は、必死に走った。
全てのことが、ふりきれるくらいに....

そして気づいたら、花道を歩いている卒業生の中にいた。
誰かに肩を掴まれた。

「おい!!美彩!!!」

「えっと..そ....う............?」

「どうしたんだよ!!なんで泣いてんだよ!?」

爽、すごい顔...そういえば、爽の中では教頭に連れていかれたきりだったんだっけ。『ごめん、爽。』と心の中だけで言っとこう.....

「あの..ね.....」

なんて言えば良いんだろう...

「あ、わかった!!俺と少しの間、離れててさびしかったんだろ!!」

「ちがうわ!!」

音速並みに早口で言った気がする。

「じゃあ、何だよ。」

「....えっと、あの......その。」



本当は全部、言いたい。
けど、これは私のことだし、爽を関わらせてはいけない。
爽が私のこと、知ったとしても全然関係ない。
だとしたら、言わないほうがいい。

きっと......


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