冬の約束
「美彩さん。今すぐ、理事長室に行ってください!理事長がお呼びです!!」
あぁ、そういうことか。
あの人が呼んでいるとなると、『早く美彩を呼んで下さいませんこと?さもないと、あなたのどこかに、このハサミが刺さりますわよ??うふふ。』などと言ったのだろう。
だから、顔が青いのか....ドンマイ、教頭。
「わかりました。」
これから、お別れで寂しいだの、クラスで写真をとろうだの、暑い運動場でめんどくさいイベントが、起こるんだろうなぁ。
そう考えると、ラッキー!!
コツコツコツコツ...
私のローファーの音だけしか聞こえない。
静かって幸せー!!
なんで、団体行動なんてするんだろう。
一人が好きなわけではないけど、好き好んで団体に入る気がしれない....めんどくさいのに。
「着ーいたっと!」
コンコン
「どうぞ。」
扉を開けると、窓の近くで白い肌に綺麗な黒髪をなびかせ、涼んでいるこの学校の理事長に話しかけた。
.....このお金持ちそうな理事長、実は私の母なのだ。
「理事長としてか親としてか、どちらで呼びました??」
「そうね...親かしら....??」
「そうですか.....で、お母さん何の用??」
お母さんは言いづらそうに、口を開いた。
「美彩、私ね、ずっとずっと、嘘をついていましたの。」
「私に?何の嘘をついていたの??」
私のお母さんは、思いつめた顔で言った。