きみはアイドル



それは、3ヶ月後に行われることが決まったライブツアーに向けて
Birthの5人で打ち合わせをしていた時だった。



突然こう言ったのはBirthの最年長でリーダーの功だった。



「…………は…?」



理解するのに時間が掛かるほど、頭が真っ白になった俺の口からは

自分でもビックリするくらい気の抜けた声がこぼれた。




「え……」



「…嘘だろ?」



「功…それ…どういうことだよ…」



他のメンバーも困惑を隠せない表情を浮かべながら口々にそう言った。




そうなるのも無理はない。




…なんでだよ…



2年前、あいつが辞めて5人になっちゃったけど…


ちゃんと5人でこれからも頑張っていこうって

言ってたじゃねえかよ…!!




そう思うものの、言葉が上手く出て来ない。



虚しくも、拳を握りしめる力が強くなっていくだけだ。




すると功は



「別に…ただ、俺はアイドル向いてねぇなって思っただけ。それにリーダーっつっても実質俺は形だけって感じでお飾りみたいなもんだったし…。」




無愛想にそう言ってチラリと俺の方を見た。




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