きみはアイドル
「私、睡眠時間たくさんとらないと生きていけない…」
思わずそう呟いてしまうと、一輝先輩はクスッと笑いながら
「まあ、俺もいつもは寝過ぎってくらい寝てるし大丈夫だよ。昨日は色々考えちゃってさ。」
そう言うと目を伏せた。
なんだろう…色々考えて…って事は何かあったんだよね…
悩み事があるって事かな…
それだったら何か力になれればいいんだけど
私じゃ頼りないだろうし…どうしたら…
考えてしまったのが顔に出てしまっていたんだろうか。
一輝先輩はまた笑顔で言った。
「あ、でも本当大丈夫だから。一週間後には篠宮先輩と雑誌の対談があってさ。ほんと楽しみなんだよね。」
「え、篠宮先輩って…あの…?!」
「うん、篠宮晶先輩。…そういや麻結も共演してた事あったよね?」
「はい!何度かご一緒させてもらって…」
篠宮さんは、一輝先輩と同じ事務所の先輩で
3人で活動しているアイドルグループのセンターをつとめている人だ。
「俺ほんと…ずっと前から篠宮先輩に憧れててさ。この仕事きた時すごく嬉しかったんだよね。」
そういう一輝先輩の顔はさっきよりも明るい笑顔に見えた。