きみはアイドル
「…!……望月、麻結……ちゃん?」
「…え…?」
その声に思わず顔を上げると
私をじっと見つめる眼差しがぶつかった。
はわわわわわ…!
「…やっぱり…。」
「そ、そうですけど…。…あの…私の事、知っててくれてたんです…か?」
私がおずおずとそう言うと、
「そ、そりゃあ…知ってるよ。…ずっと前から。」
…!
最後の方は呟くように言っていたせいか、私の耳には届かなかった…けど、
…知っててくれた…!
あの日の事はーーーーー覚えてないと思うけど…でも、ちょっと救われた気持ちがした。
「わ…私も知ってます。」
「ん?」
「名前…」
色々感情が整理しきれてなくて
声が震えそうになりながら声を絞り出す。
…あ、でも何て言えばいいんだろ…
前は君付け?だったよね…でも向こうからしてみれば私とは初対面なわけだし…
それにこの制服…ってことは聖章高校で…
確か2学年上で先輩ってことになるから
…
「…神山…一輝先輩。」