きみはアイドル
神山先輩は少し驚いた表情をした後
優しく笑って
「うん。」
と、だけ言った。
「…あれ…その制服って聖章の…だよね?麻結ちゃんって聖章高校だったの?」
「あ、いや…今日が入学式で…。でも仕事が入っちゃったので抜けて今から…」
そこまで言ってハッと思い出した。
私…今迷子だったんだ…!
「…?どうしたの?」
黙ってしまった私を見兼ねてか、神山先輩が口を開いた。
…う…
高校生にもなって迷子だなんて…
ありえないよね…
恥ずかしすぎて言いたくない…けど…
いつまでもここで迷ってるわけにもいかないので、
方向音痴で道が分からない事、地図も持ってなくて途方に暮れていた事を正直に話すと…
「…あ、じゃあ俺と途中まで行く…?…一緒に。」
「え…?!い、いいんですか?」
「うん。俺も今から雑誌の撮影が入ってて…同じ方向だから。ってか、仕事の時は大体こっちの駅だし…」
…こ、こんなことが嬉しいことがあってもいいのかな…?!
「は、はい!じゃあ…お願いします…」
私が小さくそう言うと、神山先輩は優しい笑顔で頷いた。