きみはアイドル



裕也が出て行って静寂に包まれる保健室。


先に口を開いたのは麻結ちゃんの方だった。



「ごめんなさい、迷惑かけちゃって…神山先輩がここまで運んでくれたんですよね?」



「え?あぁ…そうだけど…。迷惑なんかじゃないし、大丈夫だよ。」



「いや…でも私絶対重かったと思いますし…!!すみません本当!」



そう言ってわたわたしている麻結ちゃん。



……か、可愛い…




………



…っ、じゃ無くて!!






「そんなの気にしなくていいよ!てかむしろ軽かったくらいだし…。それより、体調はもう大丈夫なの?」



「はい!よく寝れたからなのか、もうこの通りすっかり元気です。」




そして、ふわりと微笑んだ。


俺がずっと見たかった、天使のような笑顔。



「そっか…」




よかった……




その笑顔を見て俺はホッと胸をなで下ろした。




< 65 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop