きみはアイドル
「あの子に言われて…ちょっと考えてみたの。私がやってきた事は本当に全部正しい事だったのか。
…まぁ、あんな若い子が言った事を素直に受け入れるなんて、プライドが傷つくし…抵抗があったけれどね。」
浅井さんはそう言って話し始めた。
「でも…そうね。よくよく考えてみたら、ちょっと間違ってたかなって思った。特にレッスンは。
何でもいいから、とりあえずレッスンを入れておけばいいと思ってた。
…けど、そうじゃないわよね。昨日、それを言いたかったんでしょ?」
浅井さんに咄嗟に振られて、頷くことしか出来ない私。
そんな私をよそに、浅井さんはまた話し始める。
「それで思ったんだけど、麻結は舞台とか現場で実力を十分つけているんだから、レッスンは最小限でいいんじゃないかって。
それにレッスンを受けなくても演技力は申し分ないと思ってるわ。」
!!!
「浅井さん…」
浅井さんにこんな事言ってもらえるなんて…認めてもらえるなんて初めての事で、
驚きと嬉しさで言葉に詰まってしまう。