きみはアイドル
「…最近は自分に自信が無くって。あはは…まぁ元々無かったんだけど!
ドラマやテレビ番組に出演する事が段々少なくなって、それと一緒にどんどん不安になってきちゃった。」
麻結は笑顔でそう言っていたけど、やっぱりどこか悲しそうにも見えた。
「今は舞台とかで経験を積む時期だって言われてるし、それも大事だって分かってるんだけどね。」
「そっか…」
そう言って麻結から視線を外し、窓の外を見てみると
僕が乗り換える駅まであと2駅というところまで来ていた。
でも、ちょっとビックリしたなぁ…
麻結もそんな風に悩んでいたなんて。
僕とは違って演技だってすごく上手だし、何でも出来てしっかりしてるってイメージだったし…。
それを僕が伝えると
「そんなことないよ。…私も最初どうしたらいいか全然分からなかったし…一輝くんと一緒だよ!」
「一緒?」
「うん。最初は皆悩んだりすると思うけどなぁ。そういうものじゃない?…あ…私達が臆病なだけかもしれないけど…」
あはは…と控えめに笑う麻結につられて僕も自然と笑顔になる。
最初は皆…そっか…そうだよね…。