きみはアイドル
振り向くと、一輝先輩が目の前に立っていた。
「あの、さ…」
一輝先輩はそう言うと、メモ用紙の様な紙を取り出した。
そこには数字とかが書いてあるみたいだけど…。
私が首を傾げていると、
「これ、俺の連絡先だから…また何かあったら連絡して。」
「…えっ?」
一輝先輩は私の右手をとると、紙を手のひらに乗せてそのまま握らせた。
「ごめんね、引き留めて。…行ってらっしゃい。」
そして、ふわりと笑う一輝先輩。
え?…あ、そうだ…ぼーっとしてる場合じゃない…
時間だった…!
急いでいた私は、そのあとに
「ん?…え?!え?!これって…もしかして神山くんって麻結のこと…?!」
「ちょ…声がでかいって…!」
「あ、否定しない!ってことは…やっぱりそうなんだね!きゃーっ!!」
「なんだよ、きゃーって!!…で、…何で分かったの?」
こんなやり取りが続いていたなんて、夢にも思わない。