きみはアイドル
普通科と芸能科は校舎が分かれている。
っていっても芸能科の方が人数も少なくて、各学年1クラスずつしか無いから
違う階には理科室とか家庭科室とか…特別教室が集まっている校舎でもあるけど…
そんな校舎をいつも通り歩く。
うわぁ…やっぱり朝早すぎて全然人がいないな…
そうして、1年の教室を通り過ぎようとしたとき
廊下側の後ろの席に誰かが座っているのが見えた。
あれ?こんな朝早くに誰が…?
っていうか、あれってもしや…!
俺はその人影に声をかけた。
下を向いて何か書いているから顔は良く見えなくて
確信は出来ないけど…!
「…もしかして、麻結?」
すると、その子がガバッと顔をあげて俺の方を見た。
「一輝先輩?!」
目を丸くして驚いている様子の麻結。
やっぱりそうだったんだ。
でも何でこんな朝早くに…?
「今日何かあるの?」
俺が聞くと、
「いえ…特に何も無いんですけど、最近は朝から仕事っていうのが無いので、毎日早く学校に来て勉強とか台本とか読んでるんです。」
「そうなんだ…すごい…偉いね。」
「そんなことないですよ!朝くらいしか時間が無いので…」