きみはアイドル
「…あ、それって数Ⅰだよね?懐かし…俺全然出来なかったな…」
俺は、視線を麻結の机の上に落として言った。
「そうなんですか?い、意外です…。まあ…でも私も数学出来ないんですけどね。」
そう言って、えへへ、と小さく笑う麻結。
そうなの…?!
あ…でも、だったら…あれだな
俺の頭が良かったら、麻結に教える事だって出来たし
かっこいい姿を見せるチャンスだったかもしれないのになぁ…
俺の成績、ギリギリで本当やばいから
まぁ無理なんだけど。
得意科目も無いし。
強いて言うなら体育とか?って…いやいや、それ筆記試験ねぇし。
そんな事を考えながら
俺は心の中でため息をついた。
「でも…それこそ意外な気がする。麻結って何でも出来そうだし。この前の体育のときも、すっごく運動神経いいなって見てたから…」
…ん?
そして俺がそう言い終わってから気が付いた。
…ちょっと待って。
俺さっきサラッと麻結の事見てたって言った…よな…?!