天敵なキミに恋をした
そして演奏が終わり、結果は金賞だった。
『奏多、おまえスゲェな!』
同級生から褒められ、
『弟くんが吹き出すからびっくりしたよ〜』
先輩から褒められ、
『相沢くん、あの場でのあの判断は正しいわ。ありがとね。』
先生からも褒められ、
『奏多すごいじゃない。才能あるのね。』
親からも褒められた。
俺は何より、兄貴に褒めてもらいたくて兄貴のとこ行くと優しく微笑んでくれた。
『本当おまえはーー』
だけどそこで喋るのをやめる兄貴。
すると、
『相沢くんすごかったね〜』
『相沢ってどっちの?』
『弟の方に決まってんじゃん!兄の方はダメダメ。てか、見た目も弟くんのほうがかっこいいし、音楽の才能あるし最高よね〜。』
そんな会話や、
『相沢先輩って大したことなかったよな。てか、弟に助けられて恥ずかしいと思わなかったのかな。』
『てか、あんなすごい弟いて俺だったら耐えられんわ。それでも部活やってる相沢先輩って自分のこと上手いって思ってるんじゃない?』
とか、
『奏多くんまじかっこよかったね。ヒーローみたい。』
『で、その兄の優多は引き立て役的な?』
とかそういう会話があちこちから聞こえた。