天敵なキミに恋をした





つまり、何が言いたいかというと俺はその神崎のことが好きだ。




好きだからこそ、意地悪したくなる気持ちを誰かわかってくれるだろうか。




「いい加減覚えてよ…バリトンサックスだってば…!」




泣きそうな顔をする神崎。



嘘だよ、本当は知ってるよ、おまえの楽器のこと。



好きなんだからしらねぇわけないだろ。




「なんで相沢くんはそんな音楽が嫌いなのさ……」



しゅん、とする神崎。



……俺は音楽が嫌いなんじゃなくて、俺の中で音楽を消したんだ。



そう言える日がいつか来るだろうか。



あのことを話す日とか来るのだろうか。




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