天敵なキミに恋をした




「だって、楽器との三角関係になるじゃん。」




「なっ、私だって彼氏できたら楽器を恋人とか言わないわよ!」




バリトンサックスは少なくとも彼氏ではない。相棒だ。




「でももし俺がおまえの彼氏だったら嫉妬するかも。」



もしも、相沢くんが私の彼氏だったら。


もしも話だけどドキリとしてしまう。




「だって放課後、俺はひとりで帰宅、おまえは楽器と仲良くするんだろ?」




「もうっ、そんなの相沢くんが私の帰りまで待っててくれればいいだけじゃん!」



勝手に嫉妬されても困る。口を尖らせる。




「ま、冗談だけどな。じゃあな。」




相沢くんはそう言って歩き出した。




やっぱすきだ。

そんなことを思いながら残り少ないお昼休み、急いでお弁当を食べたのだった。





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