1周まわって、好きかもしれない。
「…デート?」
そう聞いたのに、河谷さんは答えずに眉をひそめる。
「綾瀬さんって、いつもこうやって瀬見くんのところにいるの?
彼女じゃなくて、ただの幼馴染なのに?」
その言葉に、なぜだか無性にカチンと来て。
なぜだかはわからないけど、悔しくて、イライラして、泣きそうになって。
「…帰る」
「え、おい凛子…」
驚いた顔する恭介を振り切って、バタンと勢いよくドアを閉めた。
「大っ嫌い」
恭介なんかきらい。
私が会いたいと思って行ったのに、いない恭介なんかきらい。
私が待っててあげたのに、他の女連れてくる恭介なんかきらい。
河谷さんにデレデレする恭介なんか、だいきらい。