1周まわって、好きかもしれない。



「俺らにとっては、これが普通なんだよ」





おかしいって言われたことに、なぜだか無性にイラついてしまう自分がいて。

凛子のことは俺が、俺のことは凛子が1番分かってる。それを他人にとやかく言われたくない。




「…行かないで」


「え…」


「教科書借りたから、もう帰る。

帰り道わからないから、私を送ってほしいの」




そう言われてしまうと、たしかに河谷さんを俺の部屋に置いて凛子を見に行くわけにはいかないし。


さすがに女の子ひとり自分の部屋に置いておくのは、落ち着かない。





「…わかった、じゃあ帰ろう」



少し安心したみたいに河谷さんは、教科書を持って俺の後をついて来た。



< 171 / 293 >

この作品をシェア

pagetop