1周まわって、好きかもしれない。
なんとなくモヤモヤしたままの気分を抱えながら、家に戻る。
凛子の部屋に寄って帰ろう、なんて思っていると、角を曲がって来た女と目が合った。
「うわ…」
見るからに嫌そうな顔をする彼女をよく見れば、中学時代の同級生の寺田理沙。
凛子がボスゴリラなんて呼んでる、リーダー格の女。正直俺も苦手だ。
「瀬見にも会うとか、ツイてない」
顔をしかめる彼女に、聞き返す。
「にも、って」
「アンタの幼なじみ」
なるほどね。
ようやく凛子がうちにいた理由も、やけにイライラしていた理由もわかった。
そのままフイとそっぽを向いてしまった寺田理沙に会釈して、凛子の家へと急ぐ。
凛子は強がってるけど、寺田理沙は凛子にとって結構なトラウマになっているように見える。