1周まわって、好きかもしれない。
「あら恭介くん、珍しいじゃない。
凛子なら部屋にいるわよ」
凛子のお母さんに頭を下げて、急いで凛子の部屋のドアを開ける。
と、ビクッとしてベッドから起き上がった凛子。
「女の子の部屋に入るならノックくらいして」
「悪い」
いつもだったら、これだから彼女できないのよ、なんて言ってくるはずの凛子がおとなしい。
ベッドの横に座ると、凛子もベッドの上で座った。
「ごめん、気付けなくて」
「え?」
「寺田にあったんでしょ」
そう言えば、なんで知ってるの、とビックリする凛子。
「悪かったよ、タイミング悪く家にいなくて」
「…そんなの、もういいし」
珍しく素直な凛子に、こっちの調子が狂う。