1周まわって、好きかもしれない。
「今、なんて言おうとした?
恭介とお似合いとか言うつもりだったなら、いくら穂果でも許さないよ!?」
恭介とお似合いだなんて、これ以上ないくらいの悪口じゃないか。
私をあんなゲームオタクと一緒にしないでほしい。
「でも、なんだかんだ好きでしょ?」
「いやいやいや。
恭介かゴリラどっちか選べって言われたら、私ゴリラと結婚するし」
手をぶんぶん振りながら叫ぶと、ゴッ、と頭に走った痛み。
誰かも確認せず睨みをきかせながら振り返れば、私の背後にはサイダーのペットボトルを持った恭介。
私を殴った凶器はそれか……
こんな可愛い子を殴るなんて人間としてどうかしてる。
というか、いつの間に後ろにいたんだ。
さすが、気配を感じないほど存在感がなくて気付かなかった。