1周まわって、好きかもしれない。
「お前、ついに人類以外にも手出すの?」
真剣な顔で聞いてくる恭介に、イラっとする。
そうか、私の家の前ってことは、隣人である恭介の家の前でもあるわけで。
私たちの会話も丸聞こえだったんだろう。まあ、全然いいけど。
私みたいな可愛い女の子に振られて悲しい気持ちはわかるよ、うん。
ごめんね。
「お前なんか失礼なこと考えてるだろ」
ばれた。
さすが、ダテに17年も隣に住んでないね。
「じゃあ、私そろそろ帰るわ」
私たちの不毛な争いを呆れ顔で見ていた穂果が、また明日ね、と手を振る。
「ばいばい!」
「あんまり大声で話すと、近所の人たちにお前の性格の悪さが丸聞こえだぞ」
うるさい。
やっぱり嫌いだ、こんなやつ。