1周まわって、好きかもしれない。
「俺の方こそ、好きになってくれてありがとう」
優しく笑ってくれた河谷さんの背中を見送った。
ゆりちゃんにそっくりで、それだけじゃなくて優しくていい子で。
俺にはもったいないくらい素敵な人なのに、それでもどうしたって凛子が好きだ。
どうして今まで気づかなかったのか不思議なくらい。
きっと、あまりにも自然に、身体の一部みたいに染み付いた感情だったから。
これが恋だって、失いそうになるまで気づけなかった。