1周まわって、好きかもしれない。
「恭介はモノじゃないよ」
ガラッと音を立てて開いたドアに、私の言葉に。
驚いた顔してこっちを見る、河谷さんたち。
「り、凛子ちゃー…」
怯むみんなを、まっすぐ見据える。
怖くない、悲しくない、傷ついてない。
こんな悪口にいちいち傷つくほど、私弱くない。
「イケメンにばっかり手出して、ぶりっ子してんなよ!」
「こんな女に負けるなんて、由莉が可哀想!」
河谷さんの友達らしき女の子たちが、口々に言う。
その姿が寺田理沙と重なって。
その光景が、中学生の頃の私と重なって。
1人で家のベッドでいっぱい泣いた。
恭介にすらバレないように泣いた。
本当はずっと寂しかったし、怖かった。
私だって彼氏を取っ替え引っ替えしたいわけじゃない。
だっていつか私のことを、ちゃんと好きになってくれる人がいるかもしれないじゃん。
今度こそうまくいくかもって、毎回思っちゃうんだもん。
それでもみんな、私じゃなくても良くて。
可愛い女の子なら、だれでも良くて。
そのたび痛む胸を、見ないふりして来た。